私が裁量デイトレードを始めた20年程前のこと。
「日経平均株価は、ほぼ毎日前日終値にタッチしてから上昇・下降の方向を決める」
このような情報に出会いました。
はたして本当なのでしょうか?
それとも都市伝説か?
そもそも20年も前の情報でしょ?
今回はPythonで分析しましたので、正しいか・間違っているかの判断はあなたにおまかせします。
約20年間の日経平均株価を分析します
約20年間の日経平均株価を分析します。
自分のPCに保存しているCSVデーターを取り込みました。
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#ライブラリーをインポート import pandas as pd # 指定された銘柄コードのファイル名を作成 Security_code +_Longest_term_historical_data.csv csv_file_name = f"{Security_code}_Longest_term_historical_data.csv" # parse_dates=Trueで、インデックスの列をdatetime型に変換している df = pd.read_csv('./data/' + csv_file_name, header=0, index_col='Date', parse_dates=True) # データーを降順に並び替える df = df.sort_index() df |
取り込んだデーターは2001年01月05日から2022年08月12日まで。
前日終値タッチの有無を算出
前日終値タッチの有無を算出します。
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#日毎の損益金額を算出' df['simple_row_return'] = (df['Close'] - df['Close'].shift(1)) #前日終値と当日始値とのギャップ df['Close_previous-Open'] = (df['Open'] - df['Close'].shift(1)) #前日終値にタッチしたかのフラグ設定 #まず初期値を入力 (未到達) df['touch_Close_the_day_before'] = 'unreached' #前日終値と当日始値とのギャップがプラスの場合 当日の安値 < 前日の終値 なら タッチ判定 df.loc[(df['Close_previous-Open'] > 0) & (df['Low'] < df['Close'].shift(1)), 'touch_Close_the_day_before'] = 'touch' #前日終値と当日始値とのギャップがマイナスの場合 当日の高値 > 前日の終値 なら タッチ判定 df.loc[(df['Close_previous-Open'] < 0) & (df['High'] > df['Close'].shift(1)), 'touch_Close_the_day_before'] = 'touch' df[['Open','High', 'Low', 'Close', 'simple_row_return','Close_previous-Open', 'touch_Close_the_day_before']] |
日経平均株価、前日終値タッチの割合
日経平均株価、前日終値タッチの割合は果たして。
取り込んだデーターは2001年01月05日から2022年08月12日まで。
総件数は5319件
前日終値にタッチの条件で抽出
前日終値にタッチの条件でデーターを抽出します。
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df[df['touch_Close_the_day_before']=='touch'] |
前日終値にタッチの条件でデーターで抽出された件数は、2448件
前日終値タッチ:2448件 / 総件数:5319件
日経平均株価が前日終値にタッチする割合は、約46%。
このような結果になりました。
なんだ。 やっぱり都市伝説じゃん!!
そう思いますか?
もう少しだけ分析を進めましょう。
チャートで確認
数字だけでは分かりにくいので、チャートを描画します。
直近の20件だけを別のデーターフレームに取得します。
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df_2 = df[['Open','High', 'Low', 'Close', 'simple_row_return','Close_previous-Open', 'touch_Close_the_day_before']].tail(20) df_2 |
チャートに描画しましょう。
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import mplfinance as mpf mpf.plot(df_2, type='candle') |
前日終値にタッチしていないローソク足に赤丸を付けました。
ボックスプロット
特徴を掴むためにボックスプロットを描画します。
前日終値から当日の始値を引いた値がY軸の値です。
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sns.boxplot(x='touch_Close_the_day_before', y='Close_previous-Open', data=df) |
左側が前日終値にタッチしていないもの。 右側が前日終値にタッチしたものです。
左側が前日終値にタッチしていない場合の方が、前日終値と当日始値の差が広いことが分かります。
ヒストグラム
おなじみのヒストグラムでもチャート描画してみましょう。
まずは、前日終値にタッチしていない属性のヒストグラムです。
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df_not_touch = df[df['touch_Close_the_day_before'] =='unreached'] sns.histplot(df_not_touch['Close_previous-Open'],color='g') |
続いて、前日終値にタッチしている属性のヒストグラムです。
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df_touch = df[df['touch_Close_the_day_before'] =='touch'] sns.histplot(df_touch['Close_previous-Open'],color='r') |
2つのヒストグラムを重ねて表示させます。
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sns.histplot(df_not_touch['Close_previous-Open'],color='g') sns.histplot(df_touch['Close_previous-Open'],color='r') |
どうでしょうか。
このヒストグラムを見てどのように感じるかは、人それぞれだと思います。
まとめ
「日経平均株価は、ほぼ毎日前日終値にタッチしてから上昇・下降の方向を決める」
これは都市伝説なのか?
今回分析した約20年の日経平均株価から導き指された、1つの答えはこちら。
日経平均株価が前日終値にタッチする割合は、約46%。
ほぼ前日終値にタッチするとは言えない結果となりました。
もう一つのヒストグラム。
こちらは判断の分かれるところでしょう。
前日の終値と、当日の始値の差が少ないときには、前日終値にタッチする傾向がある。
当然と言えば当然ですよね。
投資を実践する者にとって、一番重要なのはこの分析結果が実トレードにいかせるかどうかです。
ちなみに私はこのクセを活用した、日経225先物のトレードシステムを稼働させています。
※トレードシステムの販売やロジックの公開はしていません。
ブログの冒頭でお伝えしたとおり、判断はあなたにおまかせします。
投資は自己責任でお願いいたします。
おまけ
この上のまとめで、このブログ記事を終了しようとしていました。
しかし、せっかく最後まで読んでくれた読者に感謝の気持ちを込めて、投資戦略構築の考え方をご紹介して終わりたいと思います。
分析の結果で、前日の終値と当日の始値の差が小さい場合に、前日の終値にタッチする傾向が高い事が分かりました。
この値動きのクセを元に投資戦略を考えます。
◇ポイント
・当日の始値から前日の終値に近づく傾向がある
・得られる利益は限定的
・エントリーは取引開始直後の時間帯
このことから、小さな値幅でも利益が得やすい、かつ取引量も多い日経225先物を取引対象に選びます。
日経225先物の取引開始時間は、現物の取引開始時間より15分早く始まります。
エントリー時刻は、どちらかを選ぶか、2つの戦略を同時に動かすと考えて両方でエントリーしても良いと思います。
◇指値
・前日の日経平均株価終値(先物との値差を考慮)+数十円上で指値売り
・前日の日経平均株価終値(先物との値差を考慮)-数十円下で指値買い
◇エントリー
・取引開始直前に始値を予測(直前の板を見れば、比較的簡単に予測できる)
・前日の終値と当日の始値との値差が想定した範囲内であれば、上記指値条件でエントリー
◇利益確定・損切り
・比較的短時間で、上下どちらかの指値でエントリー(約定)されているはず
・反対売買の指値を入れて、約定していない指値をキャンセル
・反対売買の指値は前日終値または、約定価格の数十円上下(上下は売り買いにより変わる)
・損切りはあらかじめ決めた時間(例:9時30分、10時など)に指値に達しない場合に行う
(証拠金に余裕を持ち、出来るだけ金額ベースで損切りしない方が望ましい)
◇注意点
この戦略の場合、得られる利益は限定的。
指値に到達しないで逆の値動きをした場合の損失は無限大(実際は、制限値幅や時間の制限があるので、ある程度限定的。)
利益を少しずつ積み上げて、1度でドカンと損切りをする、いわるゆるコツコツドカンになる可能性がある。
他の投資戦略(トレンドフォロー型)と組み合わせて、使用するべき。
この投資戦略はあくまでも、投資戦略を構築する考え方の一部を紹介しました。
利益を保証するものではありませんし、私もこの投資戦略をそのまま使ってはいません。
ブログ運営者は、このブログ記事を参考にした取引で発生した損失、その他の不利益に対して責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
このブログ記事は、特定の銘柄の売買を推奨・投資の勧誘を目的としたものではありません。
最終的な投資決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
データーおよび分析結果の正確性について
このブログ記事で使用したデーターおよび分析結果の正確性について。
分析に使用した日経平均株価の値は、インターネット上から取得しました。
データー配信元も、データーの信頼性について保証をしていません。
分析自体もブログ記事作成のために、新たに分析したもので、第三者の確認・検証作業は行われていません。
もし、実際にトレードを行う場合は、ご自身で再検証されることをオススメします。
この記事を書いた人
あしおゆたか
投資歴21年の個人投資家
机上の理論ではなく、実体験に基づいた記事作りをモットーにしています。
スポーツクラブに毎週2日~3日通い、サウナ後の暴飲暴食が趣味。(現在自粛中)
◇主な投資対象
日本株式
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