更新日時:2019年8月27日

※この記事は連載です。

トレードステーションとエクセルを使った株価予報の開発過程を完全公開します。(サンプルプログラム含む)

 

連載記事を続けてご覧の方は、目次から [第10章]少しだけ統計的な分析 にお進みください。

 

前の記事はこちら

株価予報の作り方4 トレードステーションからエクセルにデータ転送を自動化。ローソク足パターン分析2。[サンプルコード付き・自動売買・システムトレード戦略]

 

 

あなたは、天気予報を毎日チェックしますか?
株式投資をやっているなら、「株価予報」も毎日チェックしたいと思いますよね?

 

「今日の日本の株価は 晴れ(上昇)でしょう。」

降水確率(下落確率)は30%です」

こんな情報を、朝のニュース番組でやっていたらいいですよね。

でも私の知る限り、朝のテレビ番組では放映していません。

 

ないなら作ってみよう!!

 

このように思い立ちましたが、作るのは 株価 ではなく 株価報 です。

 

ナゼ、そのような予報になったのか、根拠を公にする必要があるでしょう。

 

サイト管理者が、頭を悩ませながら株価予報の仕組みを作ります。

その過程をすべて公開する予定です。

成功と失敗を重ねながら、多くの時間を掛けて開発することになるでしょう。

 

これだけは、絶対に自信を持って言えます。

「このページにあるのは、偽りのない事実だけです」

 

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この記事のコンセプト

 

このブログ記事は、下のブログ記事を再編集したものです。

目的の項目にアクセスしやすいように、記事を分割・加筆・修正しました。

初心者向け。株価予報をトレードステーションとエクセルで作る。[トレードステーションの使い方やEasy Languageも学べます][自動売買・システムトレード]

 

このブログ記事を書き進める前に、記事作成の方針を明らかにします。

  • 「株価予想」を作成する過程を公開する。
  • 「株価予想」のロジック(しくみ)を公開する。
  • 「再現性」を確保する。(他の人もできる)
  • トレードステーションやエクセルがなくても内容を理解できる。

 

「株価予想」を作成する過程を公開する。

 

情報の取り方や、取得した情報の加工方法なども、解説します。

作業手順を、順番どおり公開します。

失敗(無意味な分析結果が出る)することも多いと思いますが、隠さずに公開します。

 

システムトレードをやっている方には、むしろ失敗の方が有益な情報になるかも知れませんね。

 

 

「株価予想」のロジックを公開する。

 

株価予報の結果が、どのように導き出されたのか?

すべての理由を公開します。

 

ロジックを公開した条件下でなら、ベータ版の「株価予報」をこのブログで公開しても、許容されると考えています。

 

 

再現性を確保する。

 

使用するツールは誰でも手に入れられるツールを使用します。

「マネックス証券のトレードステーション」と「Microsoftのエクセル」を使用する予定です。

 

トレードステーションから情報を得たり、検証するためにトレードステーションの専用プログラミング言語「Easy Language」を使用します。

「Easy Language」のプログラムも、できるだけ単純な構成にして、プログラム未経験者にも優しい解説を心がけます。

 

 

トレードステーションや、エクセルがなくても内容を理解できる。

 

読み物としても楽しんでいただけるように、配慮するつもりです。

気楽に読んでいただけたら幸いです。

 

 

この記事は連載です。

前の記事はこちら

株価予報の作り方4 トレードステーションからエクセルにデータ転送を自動化。ローソク足パターン分析2。[サンプルコード付き・自動売買・システムトレード戦略]

 

[第10章]少しだけ統計的な分析

 

日経平均株価に影響を与えてると考える、ニューヨーク証券取引所の「DOW指数」や「為替」の値動き。

このローソク足(陽線・陰線)のパターンを組み合わせて、翌日の日経平均株価の値動きを予想(予報)出来るのでは?

この思いでここまで分析を進めてきました。

このパターン分析で最も重要なのが、ローソク足が 陽線(始め値よりも終値が高い) か 陰線(始め値よりも終値が低い)です。

 

この2つのローソク足は陽線と判断。

 

この2つのローソク足は陰線と判断。

 

同じカテゴリーと考えるには無理があるかも・・・・。

 

天気予報だって、「はれ」「あめ」の他に「くもり」だってある。

 

陽線 か 陰線 または 中立 こんな考えがあった方が良いのでは?

 

そうですよね。

 

あなたもそう思いますよね?

きっとそうに違いない。

勝手に決めつけてしまいました。

 

では、中立を定義しなければなりません。

 

1日の値幅のうち、何円以内ならば中立?

何パーセント以内ならば中立?

 

これを決めるために、1日の値幅の分布を調べましょう。

 

1日の値幅の分布をヒストグラムで分析

 

ヒストグラムを使って、1日の値幅の分布を調べます。

とっても利口なエクセルさんの出番です。

 

このようなヒストグラムを作成します。

 

では,さっそくヒストグラム分析を始めましょう。

 

あなたのエクセルでヒストグラムを使えるか確認します。

[データ]リボンに[データ分析]があるか調べてください。

 

このデータ分析は標準インストールでは、使えるように設定されていないと思います。

[データ]リボンに[データ分析]がない方は、下の手順で設定してください。

 

エクセルの[ファイル]-[オプション]から「分析ツール」を選択して「設定」を押します。

 

アドインの[分析ツール]にチェックを入れて OK を押します。

これで[データ]リボンに[データ分析]が現れたはずです。

 

取得された為替データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)は、上下4円以内に収まっていましたので、データー区間は -4 から +4 までにします。

エクセルの任意のセルにデーター区間を入力します。

下の例では、H11セルからH27に 0.5 間隔でデーターを入力しています。

 

[データ]リボンの[データ分析]をクリック。

 

ヒストグラムを選んで OK ボタンを押します。

 

入力範囲には、為替のローソク足の終値から始値を引いた数値が登録されている E11からE2513 を入力。

データ区間には、先ほど入力した数値の範囲 H8からH27 を入力。

一番下の[グラフ作成]にチェックをいれて、OKボタンを押します。

 

私の環境では、新しいシートが作成され次のヒストグラムが表示されました。

データーのほとんどが、-0.5 から 2 の間に含まれていると言っていいでしょう。

 

データ区間の間隔が大きすぎたかも知れません。

データ区間を0.1刻みで-2から+2に変更して、為替のヒストグラムを作り直しました。

 

◇為替データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)ヒストグラム

 

 

同様にして、日経平均株価とDOW指数のヒストグラムも作りました。

 

◇日経平均株価データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)ヒストグラム

 

◇DOW指数の値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)ヒストグラム

 

統計の専門家に言わせれば、突っ込みどころ満載の分析だと思います。

ただし、今回の分析ではローソク足の、「はれ」「あめ」「くもり」に相当する、陽線 陰線 中立 の線引きをどこでするか?

これを決めるための分析です。 だいたいの傾向が分かれば良しとしましょう。

 

さてと、本題の、陽線 陰線 中立 の線引はどうしましょうか。

データー数が、3等分になる数値を選ぶか?

左側のローソク足(左側)のように、十字線のように始値と終値が極端に近いものだけを、 中立 と考えるか?

色々悩みましたが、これは正解の無い問題です。

 

とりあえず、値幅 0.5% 以内の値動き(始値・終値)ならば、 中立 と考えることにします!

 

ローソク足の、「はれ」「あめ」「くもり」に相当する、陽線 陰線 中立 の線引きをどこでするかを決めることが出来ました。

中立 を含めたパターン分析を始めたいところですが、統計的な分析をもうひとつやってみましょう。

 

相関関係を散布図で分析

 

相関関係とはなんでしょうか?

他のサイトさん(統計WEB)の説明が分かりやすいので、引用させていただきます。

 

26-2. 正の相関と負の相関

相関関係には「正の相関」と「負の相関」があります。正の相関関係とは次の左側のグラフのように横軸の値(x)が増加すると縦軸の値(y)も増加するという関係のことです。負の相関関係とは、次の右側のグラフのようにxが増加するとyが減少するという関係のことです。

また、直線的な関係の傾向が強い場合は「強い相関関係」、逆の場合は「弱い相関関係」といいます。xが増加してもyに増減の傾向が見られない場合は「相関関係なし」といいます。

出所:統計WEB https://bellcurve.jp/statistics/course/9589.html

 

エクセルでも、この相関関係を見る事ができます。

さっそくやってみましょう!

 

◇仮定

為替が変化したら、翌日の日経平均株価も影響を受けるはず。

DOW指数が変化したら、翌日の日経平均株価も影響を受けるはず。

 

相関関係を見るデータは,下の三つです。

  • 為替データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)
  • 日経平均株価データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)
  • DOW指数の値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)

 

為替と日経平均株価の相関

DOW指数と日経平均株価の相関

 

それぞれ見てゆきましょう。

 

データーの準備

 

エクセルに取得したデーターは、為替のローソク足を基準に取得しているので、日経平均株価の期日だけ1日ズレがあります。

これは、

[第8章]エクセルに直接株価情報を取り込む

[節] 新規に取得した複数銘柄データーの注意点

で解説していますが、日経平均株価の期日は1日前のデータになります。

 

例:エクセルデーターの 2019年06月26日 日経平均株価データーは、実際にはその前日の2019年06月25日(日本時間)のデータ。

 

ややこしいですねぇ。

 

この補正は、私がエイヤッ!と(大胆)にやってしまいます。

為替、日経平均株価、DOW指数をピボットテーブルで集計します。

 

日経平均株価のデータだけを1列上にずらします。(当日の為替の値動きと、翌日の日経の値動きとを比較するため)

※2019年8月3日追記:最初に投稿した記事では誤って、2列ずらしていたので修正しました。

 

為替と日経平均株価の相関

 

為替と日経平均株価の相関を見てゆきましょう。

エクセルのメニュー[挿入]-[散布図]を選びます。

 

散布図が表示されました。

うーん。 仮定していたような散布図になっていません。

 

横軸が為替なので、右側に行くほど円安になります。

縦軸が日経平均株価なので、円安になれば翌日の日経平均株価が元気になって、下の矢印周りに分布が集まって欲しかったのに・・・。

 

DOW指数と日経平均株価の相関

 

DOW指数と日経平均株価の相関も同じように見てゆきます。

こちらも為替と同様に、相関があるとは言いにくい散布図の形です。

 

相関関係は無いのか?(考察)

 

相関関係を散布図で分析しましたが、想定していたような結果は得られませんでした。

 

「相関関係が無いんじゃ、これ以上分析を進めてもムダだね」

「株価予想なんて、所詮ムリだったんだよ」

 

イヤイヤ、ココで諦めてはもったいない。

簡単にできないのは承知で、始めたではありませんか。

 

逆に考えましょう。

 

「為替の値動きと、日経平均株価の値動きに関連性が無い」

「DOW指数の値動きと、日経平均株価の値動きに関連性が無い」

 

これを証明できるでしょうか?

 

なかなか難しいですよね。

 

 

想定していたような結果に繋がらなかった要因を考えます。

 

相関関係を見たデータは,下の三つ。

  • 為替データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)
  • 日経平均株価データの値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)
  • DOW指数の値幅(当日ローソク足の始値と終値の幅)

 

為替データーが円安で、DOW指数が上昇した場合、日経平均株価は高く始まる事が多い(経験則)。

ギャップを開けて、高く始まると始値から値を下げて取引を終了することが多い(経験則)。

 

為替データーが円高で、DOW指数が下降した場合、日経平均株価は安く始まる事が多い(経験則)。

ギャップを開けて、安く始まると始値から値を上げて取引を終了することが多い(経験則)。

 

よって、

為替(1日の値動き)と、翌日の日経平均株価(1日の値動き)の相関

DOW指数(1日の値動き)と、翌日の日経平均株価の相関(1日の値動き)

この2つには、有意な相関関係は認められなかった。

 

そうでした! 大切なことを忘れていました。

 

そもそも、3日間ローソク足のパターンから翌日の日経平均株価の値動きを予測出来ないか?

 

これを調べるためにデーターを加工していたのです。

 

このブログ第4章の文章を抜粋します。

 

==抜粋ここから==

手始めに、日経平均株価の値動き、前日のDOW指数の上下、為替(USD・JPY)の上下、この関係性を見てゆきます。

 

必要なのは、各銘柄の4本値です。

「始値」「終値」「高値」「安値」

この4本値は、ローソク足の情報そのままなので、取得は簡単です。

 

日経平均株価が、米国DOW指数や為替の影響を受けていることは、広く知られています。

前日のDOW指数が上げて、円安になれば翌日の日経平均株価は高く始まることが多いと言われています。

 

日経平均株価そのものについても考えましょう。

前日の株価が大暴落した翌日の株価はどうなるか?

2日続けて上昇したときの翌日の株価は?

 

いくら米国DOW指数に影響されるといっても、日経平均株価そのものが強気の時と、弱気の時では影響度も変わるはずです。

 

「日経平均株価が2日続けて上昇」「DOW指数が2日続けて上昇」「日本円が2日続けて円安」

このパターンの時に、翌日の日経平均株価の値動きはどうだったのか?

 

仮定の話ですが、過去にこのパターンが100回現れて、80回上昇していたとしたら、あなたはどのような投資戦略を立てますか?

想像しただけで、ワクワクしてきますね。

 

==抜粋ここまで==

 

1日の値動きの相関を見ても、意味が無かったかも知れません。

為替やDOW指数の3日間のローソク足のパターンと、日経平均株価の3日間のローソク足のパターンとの関連性を調べる必要性があったのです。

 

ここまでのまとめ

[為替やDOW指数のローソク足のパーターン]と日経平均株価の値動きに相関があるかを、継続して分析する。

 

次の経験則についても、分析を進める。

  • 為替データーが円安で、DOW指数が上昇した場合、日経平均株価は高く始まる事が多い(経験則)。
  • ギャップを開けて、高く始まると始値から値を下げて取引を終了することが多い(経験則)。

 

[翌日の日経平均株価の始値が、○△円以上の場合]等の条件を入れればより正確な、予報に繋がると思っています。

でも、これってシステムトレード戦略を作っているみたいですね。

天気予報的では無くなってしまう?

 

ローソク足の陰陽に加えて、移動平均線の傾きをパラメーターにしては?

前日終値と当日終値が上昇したか、下降したかをパラメーターにしては?

色々なアイディが浮かんできますね。

 

パターン分析用データーの準備

 

統計っぽい分析は、サラッと終わらせるつもりだったのですが、分析を進めるにつれてより深く分析する必要性を感じてきました。

分析の元になるデーターは、エイヤッ!とエクセルの行をずらして補正したものなので、データーの信頼性も??な感じです。

 

この際なので、為替、日経平均株価、DOW指数のデーターもマジメに取り直します。

 

トレードステーションからデータ取得

日経平均株価を基準にデーターを取り直します。

 

まず、チャートに 日経平均株価、日経平均株価、DOW指数 を表示させます。

※表示させる手順の詳細を知りたい方は、このブログ記事の[第2章]をご覧下さい。

[第2章]トレードステーションのチャートに表示させる

 

Easy Languageオブジェクトを使ってデーター取得

Easy Languageオブジェクトを使って,エクセルにデーターを取得します。

Easy Languageのプログラムコートはこちら。

 

プログラムコード ここから====

Vars:
WBTab(“NK-DOW-JPY昇順 (D-Y-1)”),Cnt(11),AVG(0),CntBarN(0);

ClearPrintLog;

WkBk[WBTab].CellsAsInt[1,CntBarN+11] = date[0];
WkBk[WBTab].CellsAsInt[2,CntBarN+11] = time[0];
WkBk[WBTab].CellsAsDouble[3,CntBarN+11] = open[0];
WkBk[WBTab].CellsAsDouble[4,CntBarN+11] = close[0];

WkBk[WBTab].CellsAsInt[11,CntBarN+11] = date[1] of Data2;
WkBk[WBTab].CellsAsInt[12,CntBarN+11] = time[1] of Data2;
WkBk[WBTab].CellsAsDouble[13,CntBarN+11] = open[1] of Data2;
WkBk[WBTab].CellsAsDouble[14,CntBarN+11] = close[1] of Data2;

WkBk[WBTab].CellsAsInt[21,CntBarN+11] = date[1] of Data3;
WkBk[WBTab].CellsAsInt[22,CntBarN+11] = time[1] of Data3;
WkBk[WBTab].CellsAsDouble[23,CntBarN+11] = open[1] of Data3;
WkBk[WBTab].CellsAsDouble[24,CntBarN+11] = close[1] of Data3;

PRINT(“CntBarN=”, CntBarN);

CntBarN = CntBarN + 1;

Once (LastBarOnChartEx) Begin

PRINT(“処理が終わりました。” );

End;

プログラムコード ここまで====

 

このEasy Languageオブジェクトをチャートに適応すると、エクセルにデーターを取得する事ができます。

今回のデーターは、エクセルの11行目から古い順にデーターを取得しています。

※データー取得手順の詳細を知りたい方は、このブログ記事の[第8章]を参照願います。

[第8章]エクセルに直接株価情報を取り込む

 

データーがちゃんと取得出来ているか確認しましょう。

今回データーを取得したチャートには、上から 日経平均株価、日経平均株価、DOW指数 の順に表示されています。

前日(日本時間:朝6時)までの、 DOW指数 と 為替 の値動きが、当日の日経平均株価の値動きに影響を与えているかを分析します。

 

当日の 日経平均株価 と 前日の DOW指数 、 為替 データー が同じ行に取得出来ていれば OK!

エクセルに取得したデーターを見ると、ちゃんと並んでいますね。

 

東京取引所が休場だった、2019年のゴールデンウィークも見てみましょう。

 

連休時のデーター取得にも問題なさそうです。

※日経平均株価のDateは翌朝Time5時59分の期日を取得しているので、1日ズレます。

 

 

為替・DOWと日経平均株価のパターン相関

 

データを取り直したのでもう一度、為替と日経平均株価の相関を見てみましょう。

 

日経平均株価、DOW指数、為替 それぞれの1日の値動き(終値-始値)を算出します。

 

散布図を表示させてみましょう。

 

やはり相関は見られません。

これは想定していた事なので、良いのですが少しだけ前回のチャートと形が異なるのが気になりますね。

データーがおかしかったのかな?

まぁ、データーを取り直したので、気にしないで先に進みましょう。

データーの期間:2009年8月1日~2019年8月10日(日経取引日は8月9日)

 

パターン分析の準備

 

さぁ、いよいよパターン分析に入ります。

 

最初に分析するのは、為替・DOW指数の3日間のローソク足の陰陽パターンと日経平均株価(1日の値動き)との相関です。

 

陰陽のパターン、例えば「陽陰陰」を散布図でグラフ化することはできません。

 

パターンを数値に置き換えます。

 

3日間のローソク足が、 線 なのか 線 なのかパターン化しています。

前々日 よりも 前日 のほうが影響力が強いと思われるので、重み付けをしました。

上の表にあるように、3日間陽線が続けば、111ポイント。

3日間のローソク足のパターンが、 陽陽 ならば109ポイント。

数字の大小はあまり意味が無く、パターンの識別の為の数値と考えて下さい。

 

エクセルのセルに、関数を入力して重み付けの計算をさせます。

下の例では、AH列からAJ列で陰陽の判定と重み付けをしています。

 

為替データーにも、同様に重み付けの計算をさせます。

これで、パターン分析の準備が整いました。

 

為替・DOW指数と日経平均株価のパターン散布図

 

さて、散布図を作成してパターンの相関があるか見てみましょう。

おやおや、プロットされた位置が近すぎて、パターンが8種類あるのに4種類のように見えます。

パターンの重み付けが良くないようです。

 

重み付けを変更しましょう。

前々日の重み付けを、 1 から 10 へ変更。

前日の重み付けを、 10 から 50 へ変更しました。

 

エクセルの関数を変更します。

下は為替の変更例ですが、同様にDOW指数の関数も変更しました。

 

関数を変更すると、散布図も自動で更新されます。

散布図はそれなりに表示されましたが、やはり相関があるとは言えないですねぇ。

 

これまでのパターン分析では、夢のある結果が現れていません。

あまり楽しくないので、この辺で妄想トレードをしてみましょう。

 

もし、上の散布図に現れた8種類のパターンで、実取引をしていたらどうなっていたでしょうか?

 

パターンで妄想トレード

 

これまでの作業で3日間のローソク足が、 線 なのか 線 なのかパターン化しました。

それぞれのパターンに重みを付けています。

 

3日間陽線が続けば、160 ポイント。

3日間のローソク足のパターンが、 陰陽陽 ならば 140 ポイント。

 

パターンは全部で8種類。

 

それぞれのパターンで、もし実トレードしていたらどうなっていたでしょうか?

妄想してみましょう!

 

日経平均株価そのものを売買することは出来ませんが、仮に日経225先物が同じ価格だったとします。

日経225先物は、ラージで現物の1000倍、ミニで現物の100倍のレバレッジです。

 

ピボットテーブルを使って、パタン毎の損益を集計します。

 

DOW指数の方が良い結果が出ると思いますので、DOW指数でやってみましょう!!

 

DOW指数の重み付けをした範囲を選択して、ピボットテーブルを作成します。

 

範囲を選択して。

 

メニューの 挿入-ピボットテーブル に進みます。

 

範囲は選択済みなので、そのままOKボタンを押します。

 

ピボットテーブルのフィールドを選びます。

 

パターンの出現回数も、集計してみましょう。

 

さて、いよいよ妄想を始めます。

 

日経平均株価そのものを売買することは出来ませんが、仮に日経225先物が同じ価格だったとします。

日経225先物は、ラージで現物の1000倍、ミニで現物の100倍のレバレッジです。

 

それぞれの陰陽パターンが出現したときに、翌実の日経平均を寄り付きで買い(戦略によっては売り)、引けで決済。

 

先物ラージを想定すると、 ¥14,940,260 の利益。

先物miniを想定すると、  ¥1,494,026 の利益。

 

なんと、ラージなら 1千万円以上の利益 を得られることになります。

※手数料、税金は考慮していません。

※データー算出期間: 2009年8月5日~2019年8月10日

 

久しぶりに、夢のある結果が出ました。

良かった良かった!

 

実は、このDOW指数の値動きと日経平均株価の値動きの連動性を元にした、システムトレードを運用しています。

もちろん、この記事で算出した 陰陽パターン をそのまま使ったものではありませんが・・・・。

 

妄想トレードのたびにお話をしていますが、この投資手法で実トレードを絶対に行わないでください。

 

過去の結果を集計して、都合の良い投資戦略(今回の場合は、売りと買い)を設定していますから、利益が出て当然なんです。

 

パターン判定に ”中立” を追加

 

この記事[10章]の冒頭でも、”中立” 判定の必要性書きました。

 

10章の前半を振り返ります。

 

====振り返りここから====

日経平均株価に影響を与えてると考える、ニューヨーク証券取引所の「DOW指数」や「為替」の値動き。

このローソク足(陽線・陰線)のパターンを組み合わせて、翌日の日経平均株価の値動きを予想(予報)出来るのでは?

この思いでここまで分析を進めてきました。

このパターン分析で最も重要なのが、ローソク足が 陽線(始め値よりも終値が高い) か 陰線(始め値よりも終値が低い)です。

 

この2つのローソク足は陽線と判断。

 

この2つのローソク足は陰線と判断。

 

同じカテゴリーと考えるには無理があるかも・・・・。

 

天気予報だって、「はれ」「あめ」の他に「くもり」だってある。

 

陽線 か 陰線 または 中立 こんな考えがあった方が良いのでは?

 

そうですよね。

 

あなたもそう思いますよね?

きっとそうに違いない。

勝手に決めつけてしまいました。

 

では、中立を定義しなければなりません。

 

1日の値幅のうち、何円以内ならば中立?

何パーセント以内ならば中立?

 

==中略==

 

さてと、本題の、陽線 陰線 中立 の線引はどうしましょうか。

データー数が、3等分になる数値を選ぶか?

左側のローソク足(左側)のように、十字線のように始値と終値が極端に近いものだけを、 中立 と考えるか?

色々悩みましたが、これは正解の無い問題です。

 

とりあえず、値幅 0.5% 以内の値動き(始値・終値)ならば、 中立 と考えることにします!

====振り返りここまで====

 

繰り返しますが、正解はありません。

まず、値幅 0.5% 以内の値動き(始値・終値)ならば、 中立 と考える事にします。(上下それぞれ0.5%なので、計1%が中立)

 

エクセルに、 中立 を判断させる関数を入力しましょう。

値幅を 0.5% に設定する事にしましたが、後から簡単に変更出来るように、AI9セルにパラメーターを入力出来るようにしました。

0.5% は 0.0005 を入力します。

N列の終値に、0.0005を掛けて、中立の範囲を算出しています。

そして、中立の場合は 数値0(ゼロ)と表示させる事にしました。

 

上の例ではAH13セルに前々日の 中立 を判定させる下の関数を入力しました。

=IF($P11>($N11*$AI$9),10,IF($P11<($N11*$AI$9*-1),-10,0))

 

次に、前日の値動きを判定する関数をAI13セルに入力します。

=IF($P12>($N12*$AI$9),50,IF($P12<($N12*$AI$9*-1),-50,0))

 

同様に当日の値動きを判定する関数をAJ13セルに入力します。

=IF($P13>($N13*$AI$9),100,IF($P13<($N13*$AI$9*-1),-100,0))

 

AH03、AI13、AJ13に入力した関数をコピーしてデーターの最終行まで貼り付けます。

 

同じ手順で、為替の 、陽線 陰線 を判定させる関数を置き換えて 、陽線 陰線 中立 を判定させます。

 

 

 

関数を置き換えると、散布図も自動的に更新されるのが、エクセルの便利なところです。

上の散布図は中立の値幅0.5%(上下で1%)を中立と判定させたものです。

 

中立判定させる値幅のパラメーターを変更して見ましょう。

中立と判定させる値幅を0.25%(上下で0.5%)に変更した際の散布図はこちら。

 

ここまで来て、また間違いに気付きました。

 

陰陽パターンに重みを付けて、数値化しています。

 

このため、異なった陰陽パターンに同じ風致が割り振られていました。

◇例

パターン 陰陰 の場合 : (-10) + (-50) + (0)

パターン  の場合 : (-10) + (50) + (-100)

2つのパターン共 -60

 

重み付けの基準を変えます。

 

 

新しく振り直した数値で散布図を見てみましょう。

中立と判定させる値幅を0.25%(上下で0.5%)際の散布図はこちら。

やはり相関があるとは言いにくい散布図ですね。

 

 

また妄想トレードで気分転換しましょう!

各陰陽パターンで投資戦略を立ててトレードしていたら・・・・

日経平均株価と、日経平均先物の価格が同一だと仮定します。

それぞれの陰陽パターンが出現したときに、翌実の日経平均を寄り付きで買い(戦略によっては売り)、引けで決済。

 

先物ラージを想定すると、¥29,438,220 の利益。

先物miniを想定すると、 ¥2,943,822 の利益。

 

※手数料、税金は考慮していません。

※データー算出期間: 2009年8月5日~2019年8月10日

 

陰陽パターンに 中立 を加えたら、妄想トレードの成績も良くなりました。

 

「なるほど! 明日からこの投資戦略でトレードするぞ!」

このように思ったあなた。

 

チョット待ってください!!

 

パターンの条件を細分化して、必ず利益が出る方向に売買条件を設定しているのですから、利益が増えて当然なんです。

 

妄想トレードのたびにお話をしていますが、この投資手法で実トレードを絶対に行わないでください。

 

この[第10章]では、少しだけ統計的な分析をあえて 相関係数 などの数値を使わずに見てきました。

 

次の章では、トレードステーションを使って、より視覚的な分析を進めたいと思います。

 

今回の記事はココまでとします。

 

次の記事はこちらからどうぞ。

株価予報の作り方6 トレードステーションで相関分析 日経平均株価・DOW指数は連動するのか? [サンプルコード付き・自動売買・システムトレード戦略]

 

 

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この記事を書いた人

ゆたかドットらいふ編集部

あしおゆたか

投資歴21年の個人投資家

机上の理論ではなく、実体験に基づいた記事作りをモットーにしています。

スポーツクラブに毎週2日~3日通い、サウナ後の暴飲暴食が趣味。

◇主な投資対象
日本株式
株式ETF(上場投資信託)
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