「サヤ取り」 「アービトラージ」 という 投資手法 はご存じでしょうか?
簡単に説明すると、2つの銘柄の価格差から利益を得る手法で、
比較的安全な投資手法とされています。
この記事では、「トレードステーション」と「エクセル」を連携して、サヤ取りのシステムトレード戦略を考えてみます。
この記事は連載です。
前の記事でエクセルに取得した株価データを元に、考察を進めます。
前の記事はこちら。
株価の差が元に戻る事で利益を得る
サヤ取りは2銘柄の価格差を収益に変える手法です。
サヤ取りの詳しい説明は、他のサイトに譲るとして、このページでは開いた価格差が元に戻る場面で利益を得る方法を考えます。
上のチャートは、
日経平均ブル2倍上場投信 1579-TS
日経平均ベア2倍上場投信 1360-TS
この二つの銘柄を表示しています。
元は恋人のように寄り添っていた2銘柄の、心(価格)が離れてゆきました。
この2銘柄の 心(価格) が再び寄り添って 元サヤに収まることを期待します。
価格が元に戻ったら利益がでる?
2017年10月2日の価格差は13700円でした。
2018年2月23日の価格差は16760円です。
期日 | ベア終値 | ブル終値 | 価格の差異 |
2017/10/2 | ¥3,900 | ¥17,600 | ¥13,700 |
2018/2/23 | ¥3,250 | ¥20,010 | ¥16,760 |
差の拡大⇒ | ¥3,060 |
価格差 の 拡大幅 は 3060円。
仮に2銘柄の価格差が、2017年10月2日の価格差に戻った場合を想定してみましょう。
価格差の拡大が 3060円 なので、
半分の 1530円 ずつ均等に上下して価格差が縮まった場合どうなるでしょうか?
価格差が縮小する事を期待したサヤ取りエントリーは
価格の高い銘柄を 「売り」
価格の安い銘柄を 「買い」
です。
2018年2月23日の終値でエントリーした場合。
ベア終値 | ブル終値 | 価格の差異 | |
サヤ取りエントリ- | ¥3,250 | ¥20,010 | ¥16,760 |
価格の変動 | ¥1,530 | ¥-1,530 | |
変動後の価格 | ¥4,780 | ¥18,480 | ¥13,700 |
変動後の収益 | ¥1,530 | ¥1,530 |
損益計 | |||
100単位購入時の損益 | ¥153,000 | ¥153,000 | ¥306,000 |
均等に価格差が縮まるという理想的な条件ですが、
2銘柄とも100単位エントリーしていれば、 約30万円の利益です。
実際の価格で損益を計算
この記事を書いているのは、2018年3月10日(土)です。
前日の終値を元に、損益を計算してみましょう。
ベア終値 | ブル終値 | 価格の差異 | |
サヤ取りエントリ- | ¥3,250 | ¥20,010 | ¥16,760 |
価格の変動 | ¥100 | ¥-830 | |
変動後の価格 | ¥3,350 | ¥19,180 | ¥15,830 |
変動後の収益 | ¥100 | ¥830 |
損益計 | |||
100単位購入時の損益 | ¥10,000 | ¥83,000 | ¥93,000 |
見事、実際の値動きでも利益が出ています。
※このエントリーには、大きなリスクがあります。 この条件をまねて実際の取引はしないでください。
リスクについては、この後にご紹介します。
このエントリーのリスク
どのようなリスクが上げられるでしょうか?
- 価格が大きく異なる
- 日経平均に対する、感応度が異なる
- その他
今回投資戦略を考えている2銘柄は日経平均株価の変動に大きく左右されます。
日経平均ブル2倍上場投信 1579-TS
日経平均ベア2倍上場投信 1360-TS
この2銘柄の価格が日経平均の値動きに対して、どのような値動きをしているのか。
早速エクセルで確認してみましょう。
前の記事で紹介した方法で、エクセルシートに価格データーが入っています。
Date | Close1360 | Close1579 | 価格の差異 | Close日経平均 |
2016/2/25 | 8140 | 11110 | 2970 | 16140.34 |
2016/2/26 | 8100 | 11150 | 3050 | 16188.41 |
2016/2/29 | 8250 | 10950 | 2700 | 16026.76 |
2016/3/1 | 8230 | 10970 | 2740 | 16085.51 |
2016/3/2 | 7540 | 11870 | 4330 | 16746.55 |
2016/3/3 | 7340 | 12200 | 4860 | 16960.16 |
2016/3/4 | 7290 | 12270 | 4980 | 17014.78 |
日経平均株価に対する感応度を調べる
日経平均株価が1円動いた場合、各銘柄の価格がどれだけ動いたのか確認しましょう。
日経平均株価の前日との価格差を求める式をセルに入力します。
日経平均ブル2倍上場投信 1579-TS の 前日との価格差を求める式をセルに入力します。
日経平均ベア2倍上場投信 1360-TS の 前日との価格差を求める式をセルに入力します。(F列に価格が入っています)
日経平均株価が1円動いた時の変動を求める式をセルに入力します。
※日経平均の変動額で割れば、日経平均株価1円動いたら、それぞれの株価がどれだけ動くのかが分かります。
平均してみると。
日経平均株価に対する感応度は、
日経平均ブル2倍上場投信 1579-TS = 2.0
日経平均ベア2倍上場投信 1360-TS = 0.64
ややっ?
日経平均 ブル・ベア 2倍上場投信 は、日経平均株価が変動した場合に、変動に対して2倍の価格変動率となるように運用されます。
日経平均ブル2倍上場投信 1579-TS = 2.0
ぴったりですね。
でも、
日経平均ベア2倍上場投信 1360-TS = 0.64
この差は、見逃せません。
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日経平均株価が上がり続けたらどうなる?
日経平均株価が上がり続けたらどうなるでしょうか。
これもエクセルで簡単に調べられます。
2018年2月23日の株価を元に、日経平均株価が毎日10円ずつ上昇した場合を考えてみましょう。
(上の表は計算式を表示しています)
A列の日経平均株価は10円ずつ上昇を想定しているので、+10を足します
F列のベア2倍投信は、日経平均株価が10円上昇すると 感応度 0.64 なので 6.4円下落です。
なので、感応度を10倍して -6.4 です。
O列のブル2倍投信は、日経平均株価が10円上昇すると 感応度 2 なので、20円上昇です。
なので、 感応度を10倍して +20 です。
感応度が異なるので、当然価格差も開いてゆきます。
想定している、サヤ取りの投資戦略は「株価の差が元に戻る事で利益を得る」だったので、
価格差が広がれば、損失も拡大します。
感応度の補正
それぞれの感応度はこれです。
日経平均ブル2倍上場投信 1579-TS = 2.0
日経平均ベア2倍上場投信 1360-TS = 0.64
感応度の 比率は 3.125 なので、
ブル2倍投信1に対して、ベア2倍投信を3.125倍買えば、感応度の補正ができます。
期日 | 価格差 | ベア収益 | ブル収益 | ベア枚数 | ブル枚数 | ベアX枚数 損益 | ブルX枚数 損益 |
1日 | 16760 | 0 | 0 | ||||
2日 | 16786.4 | 6.4 | -20 | 3125 | 1000 | 20000 | -20000 |
3日 | 16812.8 | 12.8 | -40 | 3125 | 1000 | 40000 | -40000 |
4日 | 16839.2 | 19.2 | -60 | 3125 | 1000 | 60000 | -60000 |
5日 | 16865.6 | 25.6 | -80 | 3125 | 1000 | 80000 | -80000 |
完全に感応度を合わせるためには、相応の投資資金が必要になりますね。
多額の投資資金がなければ、サヤ取りはできないのでしょうか?
そうではありません。
そもそも、完全に感応度を合わせる必要があるか?
ここでは分析をしませんが、感応度は日経平均株価の価格帯によって変化するはずです。
そもそも、
日経平均 ブル・ベア 2倍上場投信 は、日経平均株価が変動した場合に、変動に対して2倍の価格変動率となるように運用されるはずですから。
さらに、
日経平均 ブル・ベア 2倍上場投信 を使った サヤ取りで利益を得る方法をもっと 考えても良いのですが、
もっと単純にサヤ取りができる銘柄の組み合わせがあるはずです。
次回は、サヤ取りに適した銘柄選びの方法を考えましょう。
続きはこちらです。
2018年に サヤ取り(アービトラージ)するなら、トレードステーションをオススメします。 (エクセルと連携して分析する)
お疲れさまでした。
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