最近の株高を受けてか、街の本屋さんには、株式投資の本が沢山平積みされています。 ペラペラページをめくってみると、
「こうすれば儲かります」
「株価上昇のシグナルはこれだ!」とても夢のある内容です。
これらの本が大量に売れているのですから、
きっと株で大儲けした方々が日本国中にいらっしゃることでしょう。
数年後には株長者だらけであふれかえっているのでしょうか?
今回は、株価上昇のシグナルとして一番有名だと思われる、
「移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス」で売買したらどうなるのか?
過去の株価を使って検証してみます。
本題に入る前に前置きに付き合ってください。
前置きです。
株価は過去とまったく同じ値動きをする事はありません。
ただし、その投資手法が過去において有効だったのかを知る事は、とても大切です。
言い方を変えれば、過去にまったく利益が出なかった投資手法を信じて、自分のお金を投じられるでしょうか。
ほとんどの方が「No」のはずです。
超が付く資産家を除いて、投資できるお金はごく限られています。
投資を始める前に過去の値動きから、わかることは調べておきましょう。
私が株式投資を始めたのは、約20年前です。
株式投資を始める前には、投資関連の本を読みあさりました。
そこで出会ったのが、儲かる投資手法の数々です。
「なんだ、こうすれば儲かるのか」と夢は膨らみました。
株式投資を始めた当初、幸いなことに少しずつですが投資資産は増えてゆきました。
ただ疑問が湧いたのです。
株価上昇のシグナルで買ったけど、株価は逆に下がってしまった。
株式投資の本を読み返してみます。
・株価上昇シグナルには「だまし」があります。
・チャートの形が○×だとダメ。
・条件・パラメーター(移動平均なら足の数)を変えてみましょう。
などなど。
いずれも抽象的な表現ばかりで、結局どうすれば良いのか株式投資初心者には分かりませんでした。
過去のデータで検証するために。
「ならば、過去の株価をエクセルで分析して!」 と思ったのですが、
当時は過去の株価データーを得るにも、多くのお金が必要でした。
過去の株価データが入った、 CD1枚 で数万円!
当時の私には、その数万円は払えませんでした。
時代は変わるものです。
いまは、過去10年分の株価データーを簡単に分析する事ができます。
しかも、無料で!
それを実現出来るのは、「マネックス証券のトレードステーション」です。
トレードステーションは、マネックス証券に口座を開設すれば、誰でも無料で利用することが出来るトレードツールです。
さらに、日本株の自動売買(システムトレード)にも対応しています。
自分の投資手法が固まったら、取引はトレードステーションに任せておくことも可能です。
私の知る限り、日本で最強のトレードツールだと思います。
前置きが長くなりましたが、このトレードステーションを使って、
「移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス」で売買したらどうなったのか?
検証したいと思います。
「移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス」売買のシミュレーション
移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス おさらい
ゴールデンクロスとは
短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下から上に突き抜ける状況をいいます。
株価が上昇するサイン(買いシグナル)
デッドクロスとは
短期の移動平均線が、長期の移動平均線を上から下に突き抜ける状況をいいます。
株価が下降するサイン(売りシグナル)
※上記以外にも、移動平均線とローソク足の交差をシグナルとする場合がありますが、この記事では上記の条件を「ゴールデンクロス」「デッドクロス」として解説します。
チャートに表すと、このように売り買いのシグナルとして活用できます。
検証に使用した銘柄と検証期間は、こちら。
対象銘柄: 日経225連動型上場投資信託(1321-TS)
検証期間:2008年2月1日~2018年1月5日
売買単位:100
その他:手数料、税金は考慮しない
検証の手順
まず最初に、日経225連動型上場投資信託 の チャートを開きます。(日足)
トレードステーションには、移動平均線クロスの投資戦略が標準で準備されていますので、
チャート上にマウスポインターを置き、右クリック。
ストラテジ挿入のメニューから、希望のストラテジ(トレード戦略)を選ぶだけです。
- 単純移動平均線2本クロス:買いエントリー
- 単純移動平均線2本クロス:売りエントリー
このストラテジは、 ゴールデンクロスで買い、 デッドクロスで買いを決済。 同時に信用売りでエントリーします。
逆に、信用売りは、 ゴールデンクロスで決済します。 同時に買いポジションを取ります。
私の環境の場合、トレードステーションに組み込まれていた、デフォルトの移動平均線は、
短期:9本
長期:18本
でした。 そのまま検証します。
さて結果は?
損益のグラフはこちらです。
Y軸が収益で、もちろん 0 より上なら利益が出ています。
と言うことは、利益がでたのは最初だけで、後は負け続けている状況です。
えっ?
利益が出ない?
それも、損を出し続けているなんて!
なんと、「移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス」で取引を続けると、確実に損をするようです。
ショックですね。
でも、このまま諦めることはしませんよ。
考えましょう! うーん。
移動平均の足の数を変更したらどうなるか?
トレードステーションは、パラメーターも自由に変更して、検証することが出来ます。
移動平均線の本数(日数)を変えて検証してみましょう。
短期:25本(日)
長期:75本(日)
がーん。
やはり、結果は良くありません。
まだあきらめませんよ!
気になる移動平均の足数を1件、1件入力して検証するのも楽しいかも知れませんが、
トレードステーションには「最適化」という機能があります。
最適化
文字通り最適数値を、トレードステーションが勝手に探してくれるのです。
最適化後の損益グラフはこちら
なんと素晴らしい!
チャートだけ見たら・・・・・・
最適化後の移動平均線の本数を見てみましょう。
- 単純移動平均線2本クロス:買いエントリー
短期:20本(日)※
長期:11本(日)※
- 単純移動平均線2本クロス:売りエントリー
短期:11本(日)
長期:19本(日)
※なんと、買いエントリーの長期と短期の足の本数が逆転していました。
もはや、ゴールデンクロスではありません。
最適化では、良い結果が出るように、数値を総当たりで当てて行きますので、このような事になりました。
スポンサーリンク
売り買いを逆にしてみる
こうなったら、やけくそです。
ゴールデンクロスで 売り
デッドクロス で 買い
シグナルとはまったく逆の取引で検証します。
結果はこちら
移動平均線は
短期:9本(日)
長期:18本(日)
損益グラフでは利益が出ています。
最初に検証した足(日)数と同じ本数で検証していますので、
損益チャートは、正反対の姿です。(当たり前ですが)
ここまでの検証で分かったこと
対象銘柄: 日経225連動型上場投資信託(1321-TS)
検証期間:2008年2月1日~2018年1月5日
日足ベース
この条件で、
「移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロス」売買のシミュレーションをやってみました。
残念ですが分かったことは、
単純な移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスのシグナルで、利益を得るのは難しい。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
株式投資を始めたのは20年ほど前ですが、平日はサラリーマンとして会社勤めをしています。
なので、相場の値動きを経験として得られる機会は多くありません。
そんな環境ですが、
勝ちトレードがたった数回続いただけで、絶対的な勝ちパターンを見つけたような気になったこともあります。。。。
逆に、数回負けただけなのに「機能しない」として採用しなくなった投資戦略が、その後有効なシグナルを出し続けていたり。。。。
今はトレードステーションのおかげで、より多くのデータを使って投資戦略をシミュレートする事が出来ます。
その投資手法を続けていたら儲かったか?
儲かったパラメーターは?
相場に勢いがあった頃に有効だった手法やパラメーターは?
相場が低調だった頃に有効だった手法やパラメーターは?
株価は、過去とまったく同じ値動きをする事はありません。 ただし、過去を学んで損は無いでしょう。
過去に機能した投資手法が、今後も機能するかどうかは誰もわかりません。
でも、過去に機能しなかった投資手法が、今後突然儲かる手法に変わる確率よりは高いかも?
代表的な投資手法の検証は、シリーズ化して記事にしたいと思います。
トレードステーションに組み込まれている投資戦略は、Easy Languageというプログラムで書かれています。
移動平均線クロスのプログラムに関する記事は⇒こちらです。
Easy Languageにご興味をもたれた方は、こちら↓の記事も参考にしてください。
※この記事は、主にブログ管理者の主観に基づく記事であり、
特定の銘柄の売買を推奨・投資の勧誘を目的としたものではありません。
最終的な投資決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
スポンサーリンク